節分が終わると、そろそろ雛人形出さないとなーと思い始める時期ですね。
毎年桃の節句に間に合うように、早め早めに飾ろうと思いつつ、気づけば日にちが迫っていて、慌てて出してギリギリセーフ!なんてことを繰り返しています。
ところで、雛人形には「お雛様」「お内裏様」以外にも何種類か人形がいますよね。
それぞれどのような意味や役割があるのかご存じですか?
意味を知ると、もっとひな祭りが楽しくなるかもしれませんね。
今回は雛人形のそれぞれの意味や役割についてお話します。
雛人形のそれぞれがもつ意味とは?
雛人形を飾るのは、女の子の素敵な御縁の願いと厄除けです。
これは多くの方がご存じだと思います。
しかし、それぞれの人形の意味や役割を知っている方は少ないのではないでしょうか。
一つ一つ上段から見てみましょう。
一段目:親王(雄雛、雌雛(女雛))(しんのう・おびな・めびな)
いわゆるお内裏様とお雛様です。
実は「お内裏様」というのは雄雛を指すのではなく、この二体合わせての名称です。
この二体は天皇陛下、皇后陛下を表しており、雛人形は天皇皇后の結婚式を模しています。
ちなみに、地域によって置く位置が変わります。
京雛は向かって右に雄雛。
反対に、左に雄雛を置いているのは関東雛です。
二段目:三人官女(さんにんかんじょ)
二段目は三人の女性です。
この三人は宮中に仕える侍女で、天皇皇后のお世話をする役割を担っています。
生活をする上でのお世話だけでなく、音楽や教養を教えたり、礼儀作法の指導を行ったりしていました。
結婚式では、銚子・三方または島台・長柄銚子を使ってお酒を注ぎます。
ちなみに、三人の中では真ん中の女性が年長者であり、唯一の既婚者です。
昔は結婚すると引眉、お歯黒をしていました。
人形のお顔をよく見てみると、しっかりと引眉、お歯黒がされていますね。
三段目:五人囃子(ごにんばやし)
三段目は五人組の音楽隊です。
囃子というのは能楽の一種で、楽器や謡(うたい)で結婚式を引き立てます。
場所が決まっており、左から太鼓(たいこ)、大鼓(おおつづみ)、小鼓(こつづみ)、笛、扇子 または手ぶらとなっています。
扇子もしくは手ぶらの人は謡役ということになります。
四段目:随臣(ずいじん)
随臣とは、今でいうボディーガードの役目を担っています。
右大臣と左大臣とも呼ばれていますが、これは俗称です。
用心棒なので、正確には大臣ではありません。
天皇皇后を守るという大事な役割があるので、結婚式でも弓矢と刀を持っています。
随臣は若者と老人のペアです。
雄雛には若い男性が護衛につきますが、雌雛には歳のいった男性が護衛につきます。
これは、雌雛の近くに若い男性を置かないという配慮から来ています。
五段目:仕丁(しちょう・じちょう)
仕丁は雛人形の中で唯一の一般庶民です。
徭役(ようえき)の一つで、位の高い人が庶民をタダ働きさせることを言います。
仕丁は庭掃除や、外出時のお供などの雑用が主な仕事です。
なので、雛人形の仕丁は掃除用具の「箒・ちりとり・熊手」、または外出時に必要な「立傘・沓台・台傘」を持っています。
また、仕丁はそれぞれ表情が違います。
笑い・泣き・怒りの表情をしており、表情豊かな女の子に育ちますようにという願いがこめられています。
六・七段目:嫁入り道具/御輿入れ道具
六・七段目に置かれるのは嫁入り道具と御輿入れ道具です。
嫁入り道具とは主に、たんすや食器、お化粧道具です。
これは、女性が相手の家へ嫁いだ後、生活に困らないために揃えます。
御輿入れ道具とは、天皇陛下などの位が高い人の乗り物です。
雛人形では、御駕籠(おかご)や御所車(ごしょぐるま)を置きます。
嫁入り道具と御輿入れ道具は、特に置く順番は決められてはいません。
ひな祭りにはどんな歴史があるの?
ひな祭りはもともと中国の習慣から来ています。
古代の中国では、三月の最初の巳(み)の日に川で体を清めるという習慣がありました。
「上巳の節句」と言われ、昔から特別な日として扱われていました。
平安時代にこの風習が日本へ伝えられ、更に人形を川へ流し厄を落とす「流し雛」として発展していきました。
そして流し雛とは別に、上流階級の女の子の遊びとして「ひいな遊び」というものがありました。
紙で作った人形や道具で遊ぶ、いわゆるおままごとです。
この「流し雛」と「ひいな遊び」が合わさり、少しずつ発展していったと考えられています。
平安時代に上巳の節句が伝わり、室町時代には三月三日の行事として定着していきました。
そして、江戸時代には「ひな祭り」として宮中行事として取り入れられるようになりました。
子供が何事もなく健康に育ち、いい御縁に恵まれますようにという親の想いはいつの時代も変わらないんですね。
まとめ
人形一体一体に役割があり、それぞれの道具にも意味があることが分かりました。
今まで、この人形は何を持っているんだろうと思いながら飾っていましたが、こうしてそれぞれの意味や役割を知ることでさらに愛着がわきそうですね。
一体一体と向き合いながら飾ってみるのもいいかもしれません。